道東はオホーツク海側の街「網走市」冬は流氷が見られます。流氷を間近で見られる観光船「オーロラ」も有名です。そんな網走市の観光の目玉と言えば「博物館網走監獄」北海道開拓の歴史を知る上では欠かせない場所です。道内の博物館の中でも、かなり大きな敷地を誇る見どころたっぷりな施設です。どんな博物館なのかご紹介します!
💡博物館網走監獄とは?
北海道開拓と言えば「屯田兵」や「入植団」の活躍をイメージしますが、開拓初期の初期、その礎を築いたのが「囚人労働」なんです。
明治時代初め、日本政府はロシア政府の南下政策に備えるため、北海道を開拓を急ぐ必要がありました。国内では、士族の反乱などによって多くの政治犯、思想犯が収監されていました。北海道に人を置きロシアをけん制、そして労働力の確保・・・この2つの問題を解決するため北海道各所に集治監が建てられました。網走監獄は1890年、釧路集治監の外役所として開設。1200人の囚人が、旭川から網走に至る163kmの中央道路の開削に従事。わずか8か月という超突貫工事を完成させます。しかし、その工事は壮絶を極め、たくさんの囚人、看守の命が奪われました。北海道の広い大地を貫く道路、鉄道、農地を切り拓いたのは囚人たちでした。
網走監獄は1983年に開館、旧網走刑務所の歴史的建物を25棟保存展示する野外博物館です。敷地面積は約東京ドーム3.5個分に相当します。移築復元された建物は19世紀後半から20世紀前半に建てられたもので、現存する木造行刑建築物としては最古のものです。2016年には、このうち8棟が国の重要文化財に指定され、6棟が登録有形文化財としての指定を受けています。博物館網走監獄は、北海道開拓の幕開けを語り継ぐ貴重な存在です。
ⓘ博物館網走監獄 インフォメーション
住所:網走市字呼人1-1 電話番号:0152-45-2411

開館時間:年中無休
開館時間:9:00~17:00 ※季節によって変動します
入館料金:
大人 | 1,100円 |
大学・高校生 | 770円 |
小中学生 | 550円 |
インターネット割引券はこちらから 10%オフで入館できます。
駐車場:あり 無料
📷博物館網走監獄散策
駐車場から入館受付に行く途中のまずあるのが「鏡橋」橋の名前には「流れる清流を鏡として、我が身を見つめ、自ら襟をただし目的の岸にわたるべし」との思いが込められています。春は桜がきれいです。

入館受付を通ると「正門」があります。通称「赤レンガ門」重厚で威風堂々としており「最果ての監獄」と呼ばれ恐れられた時代の網走刑務所の威厳を感じさせます。網走監獄に来た!という感じがしますね。

敷地内の施設をご紹介します

●庁舎(重要文化財)
まずは正門の正面にある庁舎をまず見学したいところです。1987年まで使用されていました。ドーマ窓が特徴で、明治期の典型的な官庁建築スタイルです。刑務所管理部門の主軸となる建物で、最高責任者の典獄室をはじめ、会議室、総務課、戒護課、用度課、教育課、作業課の各課に区切られていました。
博物館網走監獄の始まりや、網走監獄にまつわる様々な歴史が展示されています。



●網走刑務所裏門(登録文化財)
赤煉瓦門塀製作開始の大正8年に一番最初に着工した門で5年かけて煉瓦を積み上げ大正13年に延長1,080mの赤煉瓦を完成させました。受刑者が塀の外の作業場(農業、養豚場)に出かける時に通るのがこの門で、いかつい正門とは違いこの門をくぐり抜けると構外に出られるという、受刑者にとっては解放感を味わえる門だったようです。

●刑務所水門
網走川から生活物資を運び入れたり、農場へ肥料を運ぶなど、貴重な水路として活用していました。筏に肥溜めを載せ農場に運ぶ様子が再現されています。

●職員官舎
明治45年に刑務所敷地内に建てられ、幾度もの補修を経て、昭和58年まで刑務官の住宅として使用されていました。看守家族の生活の様子を再現しています。



●味噌醤油蔵
農園刑務所として自給自足を目ざしていた網走刑務所は、明治25年に30坪の味噌醤油工場を建てて味噌や醤油等の調味料を製造しました。製造は経験の長い受刑者が専属にあたったようです。この蔵に展示してある大きな樽は、五十石という樽で約9,000リットル(1升ビン約5,000本)もの醤油が入る巨大なものです。


通路には北方民族の守り神ニポポが鎮座。受刑者が網走の民芸品として制作していました。

●哨舎(登録文化財)
明治13年に内務省が制定した図式に基づいて、全国各地の刑務所では、出入り口や作業場などに哨舎という見張所を設けて、外部からの進入や受刑者達の行動を監視していました。哨舎は所内に8か所設置されていました。

●釧路地方裁判所網走支部法廷復元棟
明治33年から昭和27年まで使われた旧網走区裁判所の外観を再現していますが、内部の移築物は昭和27年から平成3年まで使用されていたものを配置し、広さ高さを元通りに復原し、法廷内部の机や椅子、照明器具、カーテン等は実際に使用されていたものを展示しています。



●休泊所
受刑者が塀の外に出て、日帰りできない作業をする場合は「休泊所」と呼ばれた仮小屋で寝泊まりしました。とりわけ札幌と網走を結ぶ中央道路の開削にあたり、明治24年4月から11月までの8ヶ月間に、延べ1,000人以上の受刑者が投入され、工事の進行に伴い、次々と休泊所を建てては移動していきました。



●耕耘庫
農園刑務所として全国的に有名な網走刑務所は札幌農業伝習学校(現在の北海道大学農学部)卒業の技官を採用してアメリカの近代農業制度を取り入れ、その技術は非常に進歩したものでした。耕耘庫には当時農機具や肥料が収められていました。




●漬物庫
冬の間、野菜が不足する網走では、秋に収穫した野菜を越冬用として貯蔵し、漬物として補いました。一回の食事で収容者の与えられる漬物の量は約25グラムで、「たくあん」なら3切れほどでした。

●監獄歴史館
メイン展示は、中央道路の開削をテーマにした映像展示です。左右前方の3面に映し出される映像が1世紀前の過酷な道路現場にタイムスリップしたような リアリティです。五感を使って「赫い囚徒の森」体感シアターを見ることができます。







かつての農作業の様子もわかります。

●旧網走刑務所二見ヶ丘刑務支所(重要文化財)
網走刑務所の農園作業の先導的施設として明治29年に網走の西方丘陵地に「屈斜路外役所」として設置された。広い農場で収容者が作物の管理から収穫まで自立的に行う開放的処遇施設として重要な役割を果たしていました。庁舎、舎房、炊場,食堂、教誨堂の5棟が渡り廊下でつながっていて、重要文化財に指定されています。











二見ヶ丘農場から中央見張所に抜ける道にも、「登り窯」などがあります。

●舎房および、中央見張所(重要文化財)
この建物は木造平家建、中央見張所を中心に側面から後方に放射状に建つ五つの舎房からなり、間を渡り廊下で接続しているため五翼放射状房と呼ばれている。中央見張所は、中央八角形の哨舎を置き各舎房の渡り廊下を見通すようになっている。最大700名収容できたようです。竪格子は平行四辺形断面もしくは「く」の字形断面の格子となっており、換気や暖房に配慮しつつ向かい房同士が見通せない工夫がなされている。扉は外から施錠されていて、中からは開けられない堅牢な造りが特徴です。







●浴場
網走刑務所では、明治45年にコンクリートの浴槽にボイラーで湯をわかす近代的な浴槽を作りました。
作業場ごとに15人ずつが、看守の号令のもと、脱衣に3分、第1槽入浴3分、洗身3分、あがり湯の第2槽入浴3分、着衣に3分というように、脱衣から着衣まで15分間で効率よく入浴しましたが、1日に入浴できる人数は200人程度でした。この時代の監獄則では、6月から9月まで月5回入浴、他の月は1回入浴と定められていましたが、現在は、1日おきに入浴できるようになりました。

●煉瓦造りの独居房(登録文化財)
独居房には、窓がなく、扉は二重、しかも煉瓦の壁の厚さは、40cm以上もあります。刑務所の規則の移り変わりにあわせ「懲罰房」「鎮房」「保護房」と呼び名も変わりました。明治時代の監獄の規則には、規則違反者を窓の無い真っ暗な部屋に閉じこめ、食事を減らし、反省させるという厳しい罰則があり、この独居房も当時の規則に合わせて建てられたものと考えられています。

●教誨堂(重要文化財)
教誨とは収容者対して行う精神的、倫理的、宗教的な強化指導のことだそうです。僧侶や牧師さんが受刑者に人の道を説き、更生へと導くように尽くした場所でもあります。建築にあたり、受刑者は精魂こめて作ったと語り継がれています。和洋折衷の意匠や技法を組み合わせた建築です。


🍴博物館網走監獄のお土産・レストラン
順路を巡っていくと最後に「みやげの館」があります。網走監獄ならではのお土産があります。




広い敷地内なので小腹がすきます。網走監獄に観光に来たら味わいたいのが「監獄食」。敷地内には「網走監獄食堂」があります。実食レポの記事はこちらから👇
最後に
網走が誇る観光名所「博物館網走監獄」をご紹介しました!北海道開拓の歴史を知る上ではマストな博物館だと感じます。今の北海道があるのは、囚人たちの働きが大きかったんだなと言うことを改めて感じました。施設全体を通し見どころも多く、展示も工夫されているので飽きさせません。敷地が広いので、かなり歩く覚悟はしておいたほうがよさそうです。時間が限られている方は重要文化財になっている「庁舎」「二見ヶ丘刑務支所」「舎房及び中央見張所」そして、「監獄歴史観」を中心に見学されたら良いかと思います。ぜひ、時間を作って網走監獄を見学されることをお勧めします。
所要時間:2時間~3時間
観光マスト度:★★★★★(道外の方)★★★★★(道内の方)
星の目安☟:
★★★★★ マストな観光地、これを見ないで帰れない
★★★★ 可能なら時間を作ってでも観光したい場所
★★★ 時間があれば、観光したい場所
★★ 時間に余裕がある人におすすめの場所
★ その地を何度も観光し、定番では満足できない人